システム管理者の眠れない夜(7)
このブログは、IDG社より発刊されていた「システム管理者の眠れない夜」の著者であった故柳原秀基さんを偲んで書いているシリーズです。
システム管理者の眠れない夜(5)より続く
日本初のWindows NT関連の総合的な情報源となったNT-FAQ-Jは、多くの注目を浴び、発言に少しずつ力が付いてきました。NT-FAQ-Jも書籍化が決まり注目度もますます高まっていきました。その頃、WNTUGという組織を耳にしました。アメリカではマイクロソフトの巨大帝国に立ち向かうため(?)、大きな発言権を持つWNTUG(通称ワンタグ Windows NT User Group)というユーザー会があってマイクロソフトに真っ向から意見をしている、我々も日本にそれを作ろうとの事になりました。そこで付いた名前がJWNTUG(Japan Windows NT User Group:通称ジャンタグ 俗称雀卓)でした。
今はもう組織としては活動していませんが、Googleで検索すると今でもJWNTUGの残骸はあるようですね。
このJWNTUGのNT-Commiteeとの関係ですが、NT-CommiteeはNT-FAQ-Jを作ったメンバー(正確には既に柳原さん等は抜けていたので作った後にも残っていたメンバー)で、JWNTUGはNT-Commiteeのメンバーが中心となって作ったユーザー会、という位置付けになります。JWNTUGはその後数千人規模の組織になり、Windows NTの発展に大きく寄与したと思います。
そんな中で活動を続けていましたが、すぐに突き当たったのが資金の壁でした。
当時自前でサーバを立て専用線を引いて、そこから情報発信をしていたのですが、サーバーのレンタル代と専用線が高くその費用の捻出は頭を悩ませました。
その時に声をかけてくれた会社の一つが日本マイクロソフトだったのです。当時の回線費用の月数十万円をポンと出してくれる、そんな美味しい話はありません。しかし、そこで亀裂が生じました。
NT-Commiteeで標榜していたのは、NT-FAQ-Jの宣言文にもあるように「メーカーやベンダー非依存のユーザーグループ」でした。ここで特定の会社、しかもマイクロソフトからの便宜を受けて良いものか?私の意見はNOでした。確かに背に腹はかえられないのは理解出来ますが、身の丈を知った活動があるだろうというのが持論でした。しかし一方では、あのマイクロソフトがこちらを見てくれているのだからそれに乗らない話は無い、という意見もありました。
結局、その意見の対立で私と数人のメンバーはNT-Commiteeを抜ける事になりました。
その頃に柳原さんから、理科大の佐藤先生を交えて、新しいWindows NTのコミュニティを作らないか、という打診を受けました。これがNT-Committee2の始まりでした。 つづく